似非百人一首・後の祭

            似非百人一首・あとの祭

 昨日12月6日のブログに、「題詠100首・似非百人一首」を載せた。結構苦労もしたが、先が見えない中で、何が出て来るかと思いつつの楽しい作業でもあった。皆様へのお詫びや釈明などは、3日のブログに書いているので、その繰返しは避けて、今日は、選定の終わったところでの感想や補足などを書くことにしたい。なお、去年書いたもの(昨年12月6日付け「あとの祭」)の焼き直しの部分も多いことを、まずお断りしておきたい。
  
 これまでにも触れたように今年は参加者の数が大幅に減ったので、正確な意味での「百人一首」の作成は不可能に近く、かなりの数の作者の作品は、2首採ることにした。その辺の検討の過程や釈明は前夜祭でも書いたので、重複は避けたい。それだけに、多少無理なところが出ていないかどうか、少々心配もした。何とかなったのは事実だが、数が少ないだけに層の薄さを感じる題も散見された。

 作成の過程について、例年通り少し御説明をしておこう。
 百人一首の前提として、選歌集を28回(去年は39回)にわたってブログに掲載した。この催しの全作品7,759首(去年は10,286首)(注:主催者ブログのトラックバック件数として記載された件数である。二重投稿や誤投稿もあるので、実作品数はこれより数%少ないと思う。)のうち、選歌集に掲載した作品数は、780首(去年は1,270首)である。残念ながらいずれも去年をかなり下回っている。
 以前は完走者の作品に限っていたのだが、作品数の減少のためこのところ完走者に限らないことにしたので、この780首を選考の対象とした。なお、例年同様、私の作品(上記の全作品数には含まれている。)も、補欠あるいはDHとして潜り込ませて頂いた。

 マトリックスにつき、少し補足しよう。それぞれの題と作者からそれぞれ候補作を選び、その組合せを考えて行った。方法としては、比較的迷わずに選定できる題や作者(多くの場合、候補作の少ない題や作者)の作品を順次選ぶといった方法で、次第に絞って行った。
 一応出来上がった後で、入れなかった作品を見渡してみて、「これは是非入れたいな」と思うものも沢山あるのだが、それを入れると、既に入れたその方の作品を落とすことは当然として、その題のほかの方の作品も落とさなければならない。落とした方は他の題で入れなければならないし、その結果落ちる方がまた出て来る。その種の玉突き状態を繰り返していると収拾がつかなくなり、仮りに何とかなったとしてもどこかに無理が出て、全体として見れば、当初のものより出来の悪い結果になる可能性が大きい。とは言いつつも、なるべく満足できるものにしたいと思い、何度かの「玉突き」は行った。それにしても素晴らしい「玉」が漏れているケースも結構あると思うが、最後は、目をつぶって妥協せざるを得なかったという点はお許し頂きたい。なお、例年に比べて候補作の数が題、作者ともに少ないので、従来以上に玉突きに限界があったのは正直なところである。
 
 先日も書いたように、選歌集自体全くの私の独断と気紛れの産物なのだが、それを母体とした「百人一首」も、その点では同様である。ただ、なるべくそれぞれの題のベストクラス(もちろん私の勝手な物差しによるものだが・・・)のものを、またそれぞれの作者のベストクラスのものを選びたいと思い、それなりに苦労もし、私の物差しからすればそこそこの選定はできたと思ってはいるのだが、果たして如何なものか。選ばれなかった方にとってはもとより、選ばれた方にも「自分のベストはこれではない」という御不満は残ると思うが、題と作者のマトリックスという難題に免じて、その点はお許し頂きたい。
 選歌というもの、作品の評価と同時に、選者の力量と感覚を問われているものだと思い、いささか恐れを抱いているところでもある。
 
 至って素朴かつ正直な感想を書き加えれば、数が少ないということは、やはり大きな問題だと痛感した。層が薄いだけに選歌に苦労するということもあるし、「1人2首でも良い」という縛りの緩和により、選歌の際の緊張感が薄れたという面も否定できない。それに、喜寿を過ぎた年齢のせいもあってか、これまでのような高揚感がやや薄れたことも否定できない。話は少し横道に逸れるのかも知れないが、例年だと百人一首を掲載すると、かなりの数のコメントが寄せられるのが通例だったが、今年はコメントがさっぱり出て来ない。「似非百人一首」になってしまったということが最大の理由なのだろうが、選者たる私自身の高揚感の薄れが、読者の方にも伝わってしまったのではないかという気がしないでもない。

 話を戻す。選歌集に載せた作品数及び投稿の全作品数は、以下のようになっている。(全作品数については、上述の注参照)
001:呼(選歌数19/全投稿数137)002:急(14/132) 003:要(11/128) 004:栄(10/128)005:中心(7/124) 006:婦(17/126) 007:度(15/124)008:ジャム(18/121) 009:異(11/119) 010:玉(11/115)

011:怪(9/112) 012:おろか(11/107) 013:刊(14/104) 014:込(11/107) 015:衛(8/101) 016:荒(19/98) 017:画面(9/96) 018:救(11/96) 019:靴(11/94) 020:亜(7/95)
021:小(16/88) 022:砕(8/84) 023:柱(12/86) 024:真(7/81) 025:さらさら(12/83)026:湿(9/88) 027:ダウン(6/86) 028:改(8/87) 029:尺(6/82) 030:物(11/80)
031:認(3/80) 032:昏(13/82) 033:逸(9/78) 034:前(10/80) 035:液(5/80)036:バス(14/78) 037:療(10/77) 038:読(13/79) 039:せっかく(8/75) 040:清(6/76)
041:扇(9/80) 042:特(13/84) 043:旧(14/76) 044:らくだ(8/74) 045:売(10/76)046:貨(14/74) 047:四国(8/75) 048:負(9/75) 049:尼(8/75) 050:答(10/73)
051:緯(11/70) 052:サイト(3/70) 053:腐(10/68) 054:踵(7/70) 055:夫(9/68)056:リボン(11/67) 057:析(4/67) 058:士(8/66) 059:税(6/66) 060:孔雀(10/72) 
061:宗(9/62) 062:万年(4/63) 063:丁(6/63) 064:裕(4/63) 065:スロー(6/65)066:缶(13/62) 067:府(5/64) 068:煌(9/66) 069:銅(5/64) 070:本(9/64)
071:粉(5/65) 072:諸(8/64) 073:会場(6/63) 074:唾(8/67) 075:短(7/62) 076:舎(7/62) 077:等(4/62) 078:ソース(8/60) 079:筆(7/60) 080:標(7/60)
081:付(8/61) 082:佳(7/61) 083:憎(8/59)  084:錦(5/59) 085:化石(7/57) 086:珠(6/57) 087:当(5/56) 088:炭(8/56) 089:マーク(6/56) 090:山(5/56)
091:略(9/59) 092:徴(8/58) 093:わざわざ(4/61) 094:腹(6/59) 095:申(5/57) 096:賢(5/57) 097:騙(9/57) 098:独(7/57) 099:聴(8/59) 100:願(6/56)

 以上、甚だ勝手な百人一首であり、独りよがりの感想だが、皆様に多少なりとも御評価頂ければ、まことにありがたいことである。来年も私の気力と体力が続く限り、皆様にお目にかかれることを楽しみにしているが、作品数によっては、百人一首をギブアップすることもあり得ないことではない。なお、これでこのブログ、短歌関係はしばらくお休みになるのだと思う。弁護士事務所ありキャバクラありの雑居ビルのようなブログだが、このブログもたまにはお覗き頂ければ幸甚である。それでは皆様、どうかお元気で新しい年をお迎え下さい。また来年お目にかかりましょう。

注:後の祭り(インターネットの「大辞林」より)
[1]祭りの翌日、供え物を下げて飲食すること。後宴。[2]〔補説〕 祭りのすんだあとの山車(だし)の意から、時機を逸して甲斐のないこと。手遅れ。悔やんでも「後の祭り」だ