参院選の争点

 参院選が公示された。最大の争点は、憲法改正の是非と安倍政権の体質の問題だと思う。政府与党は、憲法改正を目立たないようにしているようだが、選挙に勝てば、「国民の賛同を得た」と称して憲法改正の具体化を図ろうとする公算が大きい。そのような安倍政権の狙いを封じることが、今回の参院選の最大の課題だと私は思っている。そのためには、改憲勢力が2/3の勢力を占めることを阻止することはもとより、安倍政権の政治姿勢に自信を持たせるような結果を生むことはぜひ避けたいものだと思う。
 今回の選挙は、我が国の今後の進路を選択する重要な選挙だと思う。個々の政策の当否はさておき、今後の成行きによっては、不可逆的な袋小路に追い込まれ兼ねない路線の選択の問題だと思う。自公路線を基本的には支持している人々であっても、憲法改正や安倍政権の政治姿勢に関し、いささかなりとも疑問や不安を抱いている方は、今回の選挙に関する限り、自公勢力に背を向けて、健全な野党勢力の伸長に手を貸すべきものだと思う。
 野党勢力の糾合は「野合」だとする批判もあるようだが、今度の選挙は、幸か不幸か政権選択の選挙ではなく、安倍政権の後向きの独走を認めるかどうかという選択の選挙であり、政権批判という面での共通項があれば、野党勢力の糾合は、決して「野合」と呼ぶべき性格のものではないと思う。
 もう一つ、「安保法制」廃止の主張に対し、与党勢力は「対米関係を損なう」という反論をしているようだ。それもおかしな話だ。憲法違反の疑いの濃い法制を廃止することにつき、対米関係を云々することは本末転倒の議論だと思うし、そもそも、従来「安保法制」のない状態で日米関係は一応平穏に推移して来たわけだから、それを元に戻すことに基本的な摩擦が起こるはずはない。仮に起こるとしても、それは憲法違反濃厚な法制を強行した安倍政権が責めを負うべきものであり、それを不可逆的な既成事実として「正常化」に異を唱えることは、開き直りも甚だしいものであり、安倍政権の危険性を示すものだとすら思う。