経団連と憲法

 以前にも同じようなことをこのブログに書いた記憶があるのだが、また新しい動きが出て来たようなので、以前との重複は気にせずに、雑文を書く次第だ。


         経団連憲法論議は必要か

 
 報道によれば、経団連憲法改正についての論議をはじめるという。なぜ経団連が今の時点で憲法に関する検討をする必要があるのか、私には理解できない。
 言うまでもなく、経団連は経済に関する有力な権威ある組織である。したがって、経済界の立場から、法制について必要な主張をすることは当然だろう。しかし、それは、あくまでも経済団体の立場から必要な事柄に限られるべきだと思う。経済団体は、国民をリードし世論形成に影響力を持つべき性格の団体ではない。検討の結果次第ではあるが、自己と直接の利害関係を持たず本来の守備範囲でもないことに口出しすることになれば、経済団体としての本来の使命を忘れたものとなり、かえってその権威を落とすことにもつながると思う。
 経団連の首脳は、いずれも有能な企業経営者ではあるのだろう。しかし、有能な経営者が、憲法、ひいては我が国の進路について優れた見識を持っているとは限らないし、世間一般の床屋政談と質的に異なるものだとも思えない。大きな力を持つ有力な団体だけに、その言動には節度を持って貰いたいし、少なくとも、いわゆる改憲勢力のお先棒をかつぐような安易な振舞いは是非避けて欲しいものだ。