経団連と憲法

 以前にも同じようなことをこのブログに書いた記憶があるのだが、また新しい動きが出て来たようなので、以前との重複は気にせずに、雑文を書く次第だ。


         経団連憲法論議は必要か

 
 報道によれば、経団連憲法改正についての論議をはじめるという。なぜ経団連が今の時点で憲法に関する検討をする必要があるのか、私には理解できない。
 言うまでもなく、経団連は経済に関する有力な権威ある組織である。したがって、経済界の立場から、法制について必要な主張をすることは当然だろう。しかし、それは、あくまでも経済団体の立場から必要な事柄に限られるべきだと思う。経済団体は、国民をリードし世論形成に影響力を持つべき性格の団体ではない。検討の結果次第ではあるが、自己と直接の利害関係を持たず本来の守備範囲でもないことに口出しすることになれば、経済団体としての本来の使命を忘れたものとなり、かえってその権威を落とすことにもつながると思う。
 経団連の首脳は、いずれも有能な企業経営者ではあるのだろう。しかし、有能な経営者が、憲法、ひいては我が国の進路について優れた見識を持っているとは限らないし、世間一般の床屋政談と質的に異なるものだとも思えない。大きな力を持つ有力な団体だけに、その言動には節度を持って貰いたいし、少なくとも、いわゆる改憲勢力のお先棒をかつぐような安易な振舞いは是非避けて欲しいものだ。

ご無沙汰しました

 このブログも、随分お休みしてしまった。体調でも崩しているのではないか、あるいは認知症になったのではないか等々のご心配の向きがあってもいけないので、暫くぶりに筆を執る次第だ。
 ご無沙汰の理由はいろいろある。基本的には、齢80歳に近づき、物書きが億劫になったということになるのだろう。また、より直接的には、去年まで参加していた短歌の題詠ブログへの参加をとりやめたこと、加えて、一昨年までスペース・マガジンというタウン誌にコラムを持ち、それをこのブログに転載していたのだが、そのコラムを去年から引退したことの2点が大きい。
 いずれにせよ、まだ年齢相応には元気でやっているのでご安心下さい。(誰も心配などしていないと言われそうだが・・・。)


        対案が必要とは限らない


 憲法改正を巡って安倍総理から「民進党も具体的提案をしてほしい」という発言があったようだ。以前の安保法制の際にも同じような発言があり、安倍さんお得意の論理のようだ。一見もっともらしいようにも見えるが、これはおかしいと思う。
 何かをやらなければならないということがはっきりしている場合であれば、原案に反対なら対案を出せと求められるのが普通だろうが、憲法改正に関してはそうではない。手を付ける必要はないという見解も十分成り立つところだろうし、現に、多くの野党はそのような見解を持っている。「改正反対」というのは、立派な対案であり、「具体的提案」でもあると思う。
 なお、総理発言の中に、東京オリンピックの年までにというものもあったようだが、これは明らかにナンセンスだと思う。そもそも両者は全く関係のない話だし、オリンピックをそのように政治利用する下心があるのだとすれば、いっそのこと、東京オリンピックの返上運動でも起こしたい心境である。