題詠マラソン選歌(過去ログ71〜80)

題詠マラソンの選歌の続き。いよいよ選歌に自信がなくなって来た。どうしてこの歌を選んで、別のこの歌を選ばないのか・・・などと考え出すと、いっこうに進まなくなってしまう。それだけ私の座標軸がはっきりしていないと言うことなのか。結局は感覚で選ぶしかないのかも知れない。もっとも、この選歌自体、それでどうこうなる話ではないのだから、私が楽しめばそれで良い話だと割り切るしかあるまい。

題詠マラソン過去ログ71〜80

[14824] 003:つぼみ 小野伊都子 むすんだらまたひらいてね花びらはつぼみがしてた約束の色
[15254] 004:淡 藤苑子 淡紅に染めたる爪をかざし見る未だ私も乙女を持ちぬ
[15250] 006:時 小野伊都子 時を編むかぎ針ひとつ持っているレースの模様はまだ分からない
[14097] 007:発見 百田きりん 輝けるあすを発見したくってまるめてのぞく卒業証書
[14047] 009:眠 岩崎恵 眠りから覚めたら君がいるような気がしたままで過ごす一日
[15125] 015:友 兵庫ユカ 青空の下の花束友だちはまだしていないことを謝る
[15002] 016:たそがれ 中山博史 駅を出でバスへと向ふたそがれに顔の見えない人と行き交ふ
[14009] 020:楽 嶋本ユーキ 太神楽その身を獅子へと変える祖父爪先までも神へ近づく
[15119] 023:うさぎ 渡部光一郎 さびしさに一羽死ぬるを見しゆえか怖じたる兎まぐわうばかり
[15428] 028:母 渡部光一郎 母が菜を摘みに出でたる春の野に母が幼きころよりの風
[14371] 030:駅 近藤かすみ 省線京橋駅にて母に逢ふ夢にひらきしパラソルの白
[14742] 033:魚 近藤かすみ 魚偏の漢字ならびし湯呑みにて父に夕餉の茶を供へたり
[15617] 036:探偵 佐藤紀子 「とてもよい方ですよ」などと探偵に嘘を言ひ合ふ近所付き合い
[13992] 040:おとうと 五十嵐きよみ 炭酸がはじける夏にひらがなのおとうとたちが少年になる
[15133] 042:官僚 里坂季夜 官僚になりきれなかった友の弾くブルーズ 氷は溶けて真夜中
[14908] 043:馬 如月初香 春の野に野生馬のむれ静かなり身よりいのちの湯気たてながら
[15709] 043:馬 内田かおり 山の面に“跳ね馬”浮かぶ土曜日は田植機が来る隣の田んぼ
[15106] 044:香 三宅やよい おしゃべりと白粉の香を残し去る閉店作業の机をなおす
[15733] 054:靴下 上澄眠 靴下をはいて私は人になり脱がされてまた女に戻る
[14039] 060:影 青野ことり 影踏みができないほどに日は淡く足の先から透けてきてゐる
[14552] 065:城 青野ことり 城のある町の上には川のある町につながる空が広がる
[15894] 069:花束 ジテンふみお 花束を抱いているからいつもより真面目な顔で通る改札
[14650] 072:インク ピッピ ときどきは影のインクが足りなくて赤い絵の具で伸ばす夕暮
[15896] 078:携帯 野良ゆうき あの人は海でなくした携帯のアドレス帳に置いてきました
[15941] 081:洗濯 ドール 赤ちゃんが生まれましたと告げるごと洗濯物はひらひら揺れる