題詠100首選歌集(その76)・最終版

 最後の選歌集は、やはり一日仕事になってしまった。これまでより分量は多いのだが、あえて分けることもあるまいと思い、まとめて「その76」とする。在庫の残りの少ない題もあったが、それでも100題すべての選歌をするとなると相当の量になるということを、あらためて実感したところだ。
 明日は「題詠100首百人一首」の前夜祭を書き、明後日には本体を発表しようと思っているのだが、果たしてうまく行くかどうか。まだ私自身にも皆目見当のついていない話なので、楽しみと同時に不安も残るのが正直なところだ。


           選歌集・その76(最終)


002:次(321〜332)
(平岡ゆめ) 次に言う言葉は湯気に紛れ込み今朝の卵は固茹でになる
003:理由(313〜329)
(つばめ)この国を愛さぬ理由を板書せし教師の指は誰がため白き
004:塩(303〜325)
(春畑 茜) 馬の影荷の影ときに揺れながら足助(あすけ)の塩は街道をゆく
(夏椿) 生命をはぐくむこともゆるされぬ子宮しづかなしづかな塩湖
yui) 落とされた君の塩味すんとして胸の透間にできる道筋
006:ドラマ(289〜311) 
(夏椿) 午後四時の再放送のドラマならわれも主役になれるだらうか
yui)つややかに白い丸皿 もう既にドラマ仕立ての味がしている
(天井桃) 現実はドラマの様にいかぬよと子に言う我も不器用に生き
007:壁(291〜311)
(まなまま)キッチンの壁にかかったカレンダー ハートマークが目立つ夕暮れ
(天井桃)壁一面覆いし蔦に守られてレンガ屋敷は時を刻みぬ
(平岡ゆめ)壁という壁にあなたの名を描いて冬の季節の蓄えとする
009:会話(277〜298)
(まなまま) 会話などなくたっていい テーブルの下で子ネコがまるくなってる
yui) 水底で交わした会話がピンぼけのフィルムみたいに残る起き抜け
(兎六) 会話にもヒトにも飢えて比喩的にピザのチラシへ電話をかける
(水野加奈)四時までの会話と短いレシートを斜めに折って財布に入れる
(平岡ゆめ) 噛み合わぬ会話の向こうの鰯雲幸せなのは誰なんだろう
010:蝶(276〜294)
内田誠)僕にだけ見えない色の蝶が舞う空を見上げる君に会いたい
(春畑 茜) 蝶としてけふを生きゐるたましひが黒あざやかにわがまへを過ぐ
(兎六) もうどこにもネバーランドのない昼に見つめ続ける陽だまりの蝶
(水野加奈)アゲハ蝶どこにもおらず入口に雫を払い折りたたむ傘
(藤矢朝子) 蝶結びうまくできない君の手の小指の爪の形が好きだ
(平岡ゆめ)屍の蝶の渇きを見つめつつ帰らぬ夏の記憶も留める
011:除(265〜286)
(春畑 茜)掃除機とわれと黙して午後四時の廊下のかげに蹲りたり
(なゆら)除湿機の交換ランプてんてんと点りて母は銀杏を置く
013:優(262〜281)
(水野加奈)「刑務所の中」を一枚 なんとなくチケット売り場の姉さん優し
017:頭(259〜267)
(水野加奈)午過ぎの貨物列車の頭から尾までながめて歯を磨きをり
020:鳩(235〜257)
(わらじ虫) 餌のないことがわかれば鳩にすら相手にされぬ秋の公園
021:サッカー(238〜262)
(みち。) 弾まないサッカーボール誰ひとり味方じゃないけど敵じゃない夜
(鳴井有葉)どちらかと言えばサッカー少年の面影がある既婚者を抱く
(祢莉) サッカーボール追う少年の背中には少女の持てぬ真白い翼
022:低(238〜251)
(水野加奈)柿の木の低いところにつかまって抜け殻ふたつ空を見ている
(わらじ虫)これ以上低くできないとび箱にえりちゃん用と紙を貼られる
(平岡ゆめ) 弟の低い歌声聴きながらアボガドの種外しにかかる
023:用紙(233〜248)
(みち。) どの用紙からもはみ出るほんとうは言葉にしたくなどない言葉
(宵月冴音) 教師なる我を励ます文ありて中間テストの解答用紙
(濱田花香)和柄美の流れ字、さらと認めらる---蓬用紙の香まで麗し
(はせがわゆづ)胸に抱く空色画用紙うつむいたまま夕焼けに染まってたふたり
024:岸(230〜246)
(水野加奈) いつ見ても海みたいだと思いつつ右折してゆく湖岸道路へ
(春畑 茜) この秋の彼岸の日々も過ぎゆきて午後石みちに日が差してをり
(わらじ虫) ルールとは日々の抑揚ひまわりの散らないうちに岸辺にすわる
(小野伊都子) 海岸に流れつくものから作るオブジェのように書くラブレター
027:消毒(240〜242)
(なゆら)子は砂のついた傷口誇りおり消毒液はじんじとしみる
030:湯気(228〜229)
(星桔梗)泣き顔をあなたに見られたくないと背を向け湯気を盾にする君
(なゆら)珈琲の湯気立ち昇る窓際の時を止めます栞を挟む
032:ルージュ(228)
(星桔梗)君の瞳(め)に焼き付けたくてこのルージュ選んだ夜に涙雨降る
033:すいか(208〜221)
(わらじ虫)食べるときいつも誰かがそばにいるようにすいかの大きさはある
(吹原あやめ) この夏もはなればなれのさみしさをすいかの種の数だけあげる
(星桔梗)外見と中身は違うと引き合いに出されたすいか何も語らず
035:過去(208〜219)
(春畑 茜)なべてみな過去としならむ地下鉄の椅子に俯くわたくしでさへ
(宵月冴音) 詠嘆の助動詞「けり」を教えつつ溜息は過去に向けられしもの
今泉洋子) 風に乗り過去から未来へぐいぐいと鞦韆を漕ぐ青葉の中に
(星桔梗) 一瞬も過ぎれば過去という括り歴史のページに未練が残る
036:船(204〜207)
今泉洋子) 未来へと遺伝子運ぶわれは船バスタブの中にゆらゆらとゐる
037:V(213〜218)
今泉洋子) 十七歳もうすぐ終る少女子(をとめご)ともやひて着てゐるVネックシャツ
(星桔梗)写真では笑顔でいつもVサイン足を挫いた事など隠して
038:有(182〜203)
(つばめ) 有用であることのみを望まれている子抱きしめられても泣けず
(あいっち)言葉にも有効期限あるらしく「ごめんなさい」がもう届かない
(みち。)内側か外側なのかもわからずに見上げる銀の有刺鉄線
042:鱗(181〜201)
(夏端月)きらきらとはがした鱗がまな板に宇宙を作りそして流れる
(みち。)むりやりに剥ぎ取る鱗ほんもののわたしになんてずっとなれない
(小野伊都子) はがれても泳ぎ続ける水の中 鱗よせめて虹色になれ
今泉洋子)鯛捌くその桜色の鱗片を花びらのごと引き寄せながら
044:鈴(180〜196)
(水野加奈)錆びた鈴振れば乾いた種子が鳴り工具の箱にまた埋めておく
今泉洋子) 鈴掛けの実を揺らしつつひいやりと風の吹く日に秋は来てをり
(あいっち)風が吹くたびにわたしを呼びし鈴 秋のはじめの窓より外す
045:楽譜(178〜197)
(水野加奈)明日には刈られる麦の風のなか楽譜を脇にはさんで歩む
(蓮池尚秋) コンビニで楽譜をコピーする人が8分休符に見える朝4時
046:設(170〜194)
(夏端月)設定を理解するため読み出したルールブックがまたも改訂
(水野加奈)よる九時のおやつと一緒に渡された設計事務所の鍵あたたかし
今泉洋子)風炉の湯の設定温度あぐるたびゆるやかに秋が深まつてゆく
(あいっち)エアコンの設定温度を変えるひと歌会の半ばにひとりありたり
048:凧(178〜194)
(里坂季夜) しあわせな記憶をたぐる糸の先みえない凧の沈む夏空
049:礼(179〜196)
今泉洋子)わが生の男時女時(をどきめどき)に眺めたる作礼(さらい)の峯に大き虹たつ
050:確率(183〜198)
今泉洋子)戦争に二回征きたる父ゆゑにわれが生(あ)れたる確率思ふ
051:熊(178〜186)
今泉洋子)秋雨の降る夜はなぜか寂しくて「熊野(ゆや)」を謡ひて母想ひ出す
052:考(178〜184)
(星桔梗)考えるつもり無いのに気が付けば考えている恋の始まり
(あいっち)短めの手紙の最後に「ご一考ください」とあり逃げ場をさがす
053:キヨスク(184〜189)
(星桔梗)キヨスクに白いサンダル置いてきた夏踏みしめた海沿いの町
054:笛(182〜183)
(吹原あやめ)口笛を吹いて呼び出すおもいではいろあせぬまま夏の夕暮れ
055:乾燥(178〜183)
今泉洋子) 乾燥機まはせば哀し煩悩が絡み合ふ音カラカラとする
(星桔梗)乾燥を心の乾きと読んでみるあなたの居ない二年の月日
(あいっち)肌よりも乾燥しやすい心かも知れずちいさな詩集をひらく
056:悩(178〜182)
今泉洋子) 悩みなど何もなきやうな貌をして初秋の駅に人を待ちをり
(あいっち)悩むのも泣くのも大事と思いいし頃のわたしは今より若し
058:帽(177〜181)
今泉洋子) 母と子の麦わら帽子干されあり夏の思ひ出語り合ふごと
059:ごはん(177〜181)
(あいっち)土曜日のひとりランチは卵かけごはんと決めて卵を選ぶ
060:郎(157〜181)
(夏端月) 女子ばかり五人の我が家に貰われてきたオス猫の名は「太一郎」
(小野伊都子)父親の名前に郎が付くことやカシスが好きなところが同じ
062:浅(180〜182)
(たかし) 少しずつ他人になっていく二人浅い眠りの秋の大阪
063:スリッパ(154〜178)
(佐山みはる) 左右なきスリッパに見るさびしさの私に似合う一足を買う
(花夢) ちぐはぐなスリッパのある玄関を見ないふりして「またね」って言う
(里坂季夜) 送別の品にもらったスリッパをおろす秋の夜かかとが寒い
(瑞紀) 身体すら起こせぬ父のスリッパを何も言わずに持ち帰りたり
今泉洋子)スリッパのすり減りぐあひわれに似る子が摺り足に近づいて来る
065:眩(155〜173)
(里坂季夜) 今日もまた夏日の予報あきらめをはおり眩しい陽の下をゆく
(やや) 少しだけふくらみかけた半月の光眩しい手のひらに老い
(瑞紀) 北門を抜けてまひるま柵に沿う石蕗の黄がやけに眩しい
(わらじ虫)友が皆眩しい頃に聞いていた深夜ラジオの録音テープ
(あいっち)掌のうちに名を呼ぶひとのなき夜更け目眩のごとき淋しさがくる
066:ひとりごと(156〜179)
(里坂季夜)ひとりごとめいたブログにコメントがついて咳してやっぱりひとり
(はせがわゆづ)横顔のきれいな人のひとりごとを遠い異国の音としている
(わらじ虫)長い目で見れば単なるひとりごとかも知れないね人生なんて
今泉洋子) 青空に柘榴の笑ふこんな日はひとりごとさへ秋に吸はれる
067:葱(156〜174)
(水野加奈)青葱が香る白衣のひとが来て硬貨鳴らして帰ってゆきぬ
(寒竹茄子夫)根太葱買つて曠野を越え来(きた)る冬の根室ねぎま鍋炊(た)く
(小野伊都子)浅葱色とふたり同時に言ったとき淡い魔法のことばが増えた
068:踊(157〜177)
(寒竹茄子夫) 旧館の踊り場昏し角燈(ランタン)の明かり凍てつく睫毛もゆらに
069:呼吸(157〜182)
(花夢) 触れられて雨が降りそう 生き抜いていくためだけに呼吸している
(瑞紀) T字路に金木犀の香り濃きポイントありて深呼吸をす
070:籍(158〜176)
(香-キョウ-) カフェ内の小さな書籍コーナーが妙に紅茶と相性良くて
(瑞紀)リベリアという国の場所知らざれど海難ニュースの船籍に聞く
(あいっち)君の名をわがこころより除籍するハロウィン近き雨の朝に
071:メール(159〜171)
(みち。) 一瞬でつながってしまうひとことの未送信メールの吹き溜まり
072:緑(153〜168)
(水野加奈) 後悔という語の思い浮かぶとき文字色いつも濁った緑
(瑞紀)白雨緑雨この国に降る雨の名の美しきこと にわたずみ越ゆ
(やや) またひとつ昭和消えゆきさ緑の公衆電話に落ち葉ひとひら
073:寄(153〜168)
今泉洋子) 身を寄せて箱に眠れる野良猫に落ち葉舞ひ散る秋は来にけり
(K.Aiko) 寄り道はシロツメクサが咲く畦(あぜ)で ちいさな指が夢も摘む 春
074:銀行(155〜169)
(あいっち)銀行のATMの順番を待ちたりひとの肩を見ながら
075:量(153〜167)
(佐山みはる) 目分量に醤油や味醂を振りいれてレシピなどない母の手料理
078:合図 (153〜172)
(砺波湊)隣人の一日(ひとひ)はじまる合図なり薄い壁ごしの目覚まし時計
080:Lサイズ(153〜170)
(佐山みはる)Lサイズのアイスコーヒーを持て余す どこにも行けぬ秋の日暮れは
(蓮池尚秋)間違って買ったLサイズのシャツはロゴのスペルも間違っている
(砺波湊)祖母は言う「こんなに大きかったかね」皺を伸ばして干すLサイズ
081:嵐(158〜167)
(坂口竜太)時々は夏の日差しに傷ついて嵐の夜に救われている
082:研(157〜166)
(水野加奈) 放たれた最後の一羽戻り来て次の研究はじめる朝
083:名古屋(159〜168)
(砺波湊) ふくらはぎ硬き乙女とワゴン去り入れ替わるごと名古屋は迫る
(瑞紀) この街を友と歩きしことありき<のぞみ>は名古屋をゆっくりと出ず
084:球(155〜164)
(砺波湊) 出窓にはひそやかに立つ月球儀夜のおわりの風うけとめて
(あいっち)地球儀であなたの国を探したりひとさし指は海を進みぬ
(瑞紀)ドラフトに指名されたるのち笑う高校球児の眉の細さよ
(佐山みはる)肉球のうすももいろを舐め終えてひだまりに猫はまた丸くなる
085:うがい(154〜165)
(水野加奈)うがいする音増えゆきて昼すぎの校舎はあかるい蜜蜂の箱
(あいっち)手洗いもうがいも苦手なおさな児はわれに魔法をかけて逃げたり
(佐山みはる)隣家よりうがいする音聞こえくるひとり息子の帰りたるらし
086:恵(162〜173)
(佐山みはる)てにをはに苦しむ午後を天恵のごとくそばえの降りはじめたり
087:天使(155〜163)
(久野はすみ) 背徳の天使の喇叭、うすやみに頭(こうべ)を垂れて甘く香れり
(佐山みはる)懐妊のマリアに額づく大天使ガブリエルとは細き顎持つ
088:錯(156〜166)
(瑞紀) 真昼間の黒衣の襟に留めらるる銀の蜥蜴が動く錯覚
089:減(154〜170)
(砺波湊)思い出は減らせませんと嘯いて散らかる部屋の隅で啜る茶
(水野加奈) 減らし目の多く編まれて十月の午はみじかく暮れてゆくなり
090:メダル(151〜163)
(佐山みはる)金銀のメダルを首にかけられて園児は並ぶゴールの脇に
092:生い立ち(154〜168)
(水野加奈) にんげんにミルクもらいし白くまの生い立ち居間の母と見ており
(あいっち)生い立ちも未来もわたしの歌にせむ濃き鉛筆の芯を削りつつ
(瑞紀) 知られたくなき生い立ちのものたちを冷蔵庫から撤去しており
(田中彼方)「海の泡から生まれたの」そういってはぐらかされる、君の生い立ち。
(佐山みはる)なさぬ仲の祖母を看取らず生い立ちも語らず母は老いづきにけり
093:周(143〜162)
(砺波湊) おずおずと夕陽は腕を伸ばしやる周回遅れのランナーの背に
(水野加奈) 周りから見ていた白いあじさいがクリーム色だと知った土曜日
(瑞紀) ボタン押すたび新しき周波数探すラジオを窓際におく
(小椋庵月) あしたには忘れるだろう事を言う客の周りの客も女将も
094:沈黙(142〜162)
ひぐらしひなつ)沈黙のひかりのなかに重ねあう折鶴ふかく俯きながら
(久野はすみ)さっきまで賑やかだった鍋もまた沈黙のなか今日を終わりぬ
(水野加奈)傷癒えるまでを沈黙して過ごす布団の山と山のあいだに
(あいっち)西側の部屋の日なたに置いている箪笥にしまう沈黙がある
(小椋庵月) ふいに差す沈黙にふと直前の会話が胸にひしめいてくる
(冬鳥) 観覧車ひとつひとつに沈黙をかかえて夜はつつがないまま
(佐山みはる)沈黙を介在させている夜はグラスの泡が冗舌になる
095:しっぽ(156〜167)
(わらじ虫)しっぽから描くあなたを思いつつ年賀はがきの幟を過ぎる
096:複(155〜166)
(瑞紀) 一名の人員削減噂され重複本を書架より抜きぬ
097:訴(138〜161)
ひぐらしひなつ)カフェラテのミルクを足して訴えるべきこともなく暮れる冬の日
今泉洋子) 主婦業の愚痴を訴ふることはせず黙つて着物を買ふことにする
(久野はすみ)身内からの訴状のようにまぶしくて白木蓮の花の下過ぐ
098:地下(138〜161)
(幸くみこ) 地下街の露店で靴を買ったのは明日はじめて会う人のため
今泉洋子)四十代の残りし日々に履きたくて地下街に赤き靴を購ふ
(瑞紀)移ろいて秋風となる冷たさを知らざるままに地下街をゆく
(星桔梗)太陽の恵みを閉じた地下街で今日の夕食考えている
099:勇(139〜164)
ひぐらしひなつ) 後朝は退屈すぎる武勇伝聞かされながらシーツを畳む
(水野加奈)破られたメモや手紙や原稿を想い出にする勇気が欲しい
(小椋庵月)いくたびか祖父の語りし武勇伝 聴きたきときがありしこの秋
(瑞紀) 月曜は硬き靴音勇ましく響かせ歩く駅までの道
100:おやすみ(140〜167)
(幸くみこ)おやすみの「み」のとこあたりで眠る君 あたしはこれから長いトンネル
ひぐらしひなつ)身のうちにやわき真水を抱きつつ携帯電話に告げる おやすみ
(蓮池尚秋)いつもなら歩いて帰る距離なのにバスに乗る人 おやすみなさい
今泉洋子) おやすみと素直に言へない秋の夜は燃ゆるこころを抱きて眠る
(小椋庵月) 満月に狂いざくらの花ひとつ 夏へさよならおやすみ明日
(佐山みはる)朝焼けの空に木星の影さしておやすみなさい星の子たちよ


選歌した作品がなかった題

001:おはよう(337〜342)、005:放(294〜312)、008守(302)、012:ダイヤ(280〜286)、014:泉(265〜273)、015:アジア(267〜276)、016:%(268〜274)、018:集(260)、019:豆腐(260〜265)、025:あられ(231〜241)、026:基(233〜236)、028:供(233)、029:杖(233〜236)、031:忍(231)、034:岡(208〜219)、039:王子(211)、040:粘(202)、041:存在(204)、043:宝くじ(178〜200)、047:ひまわり(187〜196)、057:パジャマ(182〜183)、061:@(181)、064可憐(177)、076:ジャンプ(162〜166)、077:横(161〜167)、079:児(152〜167)、091:渇(153〜165)