未婚者の多い町

 前にも書いたように、昔からの国勢調査マニアである。今日は、最近調べたデータのごく一部をつまみ食いして御披露したい。

 
 一昨年の6月1日に、晩婚化のことを書いた。ポイントだけを言えば、平成17年の国勢調査によれば、25歳〜29歳の未婚率が男性71.4%、女性59.0%、30歳〜34歳の未婚率が男性47.1%、女性32.0%と、私が若かったころに比べて大幅に高くなっており、「結婚適齢期」が大きく高齢化していることが窺える。このことが少子化の大きな原因だと思われるし、昔に比べての価値観の変化等を別にすれば、雇用の不安定化により生活設計が立てにくくなったことが大きな理由かと思われる。

 
 それはさておき、今日は、個別の地域につき、いくつか気がついたことを羅列してみよう。
 どの年齢帯を選ぶかによってさまざまな絵が描けるが、ここでは結婚適齢期の終盤とでも言うべき35歳〜44歳の年齢層の未婚率を見てみよう。


 まず全国の35歳〜44歳の日本人の未婚率を見ると、男性で26.3%、女性で15.5%となる。 県別に見ると、男女とも東京都の未婚率が最も高く、男性で30.0%、女性で21.4%となる。これに次ぐのが男性では岩手県、神奈川県、女性では北海道、大阪府となる。逆に未婚率が最も低いのが、男性では奈良県の21.2%で、滋賀県福井県がこれに続き、女性では福井県の9.6%、滋賀県山形県がこれに続く。


 次に市町村別に見てみよう。男性の未婚率が最も高いのは、栃木県の旧銅山の町である足尾町(現・日光市の一部)の未婚率は64.2%に及び、群馬県神流町、東京都檜原村がこれに続く。いずれも山間部の過疎の町村である。
 女性では世界遺産厳島神社の地元広島県宮島町(現・廿日市市の一部)の36.6%が最も高く、男性未婚率1位の足尾町、高齢化率ナンバーワンの群馬県南牧村がこれに続く。
 逆に、未婚率が最も低いのは、まず女性の場合、全国で人口最小の愛知県富山村(現・豊根村の一部)はじめ未婚者ゼロの5村なのだが、いずれも人口の極めて少ない村である。人口の極めて少ない村の場合、未婚者が1人か2人居るかどうかで比率は大きく変わって来るので、この数字をあまり誇大に評価することには無理があるだろう。
 男性の方を見ると、富山県舟橋村の10.7%が最低であり、同村は女性の未婚率も全国第8位の3.6%と、未婚者の極めて少ない村である。同村は富山市ベッドタウンとして人口の伸びも高い村なのだが、おそらく富山市に通勤する人々が結婚して村に新居を構えるケースが多く、このため既婚者の比率が高くなっているのではないかと思われる。


 市(東京23区の場合は区)に限って見ると、男女とも東京都中野区の未婚率が、男性46.0%、女性34.4%といずれも全国一の数字である。男性の場合、これに次ぐのが東京都荒川区、北海道夕張市秋田県男鹿市、北海道三笠市であり、女性の場合は、いずれも東京都の渋谷区、新宿区、豊島区、台東区が続く。
 過疎地の未婚率が高いケースは、おそらく「お嫁さんが来ない」という深刻な理由によるものだと思われるが、東京都の区部の場合はそれとは違って、アパート等に住んでいる単身者が多いため、結果として未婚者の比率が高くなるということが大きな理由かと思われる。