料金転嫁は不当とは限らない(朝日新聞「声」)

 昨日の朝日新聞「声」(東京本社版)に私の投稿が掲載されたので、ご披露する。なお、掲載されたものは、タイトルを含め多少変わっているが、ここでは投稿した原文のままで掲載する。


              料金転嫁は不当とは限らない

                   東京都練馬区  西中眞二郎    73歳  無職

 福島原発事故の損害賠償金を電気料金に転嫁すべきではないという議論があるようだが、私はそうは思わない。肝腎なことは、適切、迅速な賠償金の支払を行うことであるが、その原資は、当然のことながら誰かが負担しなければならない。
 今回の事故が人災だとしても、企業としてまず考えることは、コスト引下げと同時に、売上の拡大と単価の引上げだろう。そういった意味では、現実にどこまで可能かは別として、料金の引上げという方策は、至って常識的な選択肢の一つだと思う。また、これまで「必要な対策を採っていなかった」のだとすれば、消費者はそのコスト抜きの電気料金を払っていたわけであり、後になってそのツケが回って来たとしても、あながちナンセンスだとも言えないように思う。
 地域独占の電力事業だから、最大限のコスト引下げを前提として、政府による厳しいチェックが必要なことは当然だが、料金転嫁に道を閉ざしてしまうことは、理屈の上からも現実的にも妥当でないと思う。誰がどのような方法で分担すべきかについての、冷静かつ総合的な検討を期待したい。