安倍総理の見識と品格を疑う

 6月13日付けの朝日新聞朝刊の記事によれば、安倍総理はそのフェイスブックで、北朝鮮からの拉致被害者の帰国の際の外務省の局長(当時)の対応につき、強く非難しているという。被害者をいったん北朝鮮に送還すべきだという局長と、送還すべきではないという当時の安倍官房副長官との意見の相違のようだ。
 結果としては安倍さんの選択が正しかったようにも見えるが、小泉訪朝に端を発した当時の経過からすれば、国際信義の上からは外務省の判断にも正当性があったように思う。いずれにせよ、どちらにも言い分のあった話だと思うが、それを「外交官としての決定的判断ミス。彼に外交を語る資格はない」などと決めつけているのは、余りにも自分の主張に傾き過ぎ、著しくバランスを欠いた反応だと思う。
 しかも、一個人の見解ならともかく、安倍さんは一国の総理である。元局長は、当時政府部内で安倍さんらとともに対応策を模索した仲間であり、現在は一民間人である。その元局長を評する姿勢としては、著しく穏当さを欠いた発言であり。総理としての見識と品格を欠いた反応だと思われてならない。

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 実は、以上は13日当日、朝日新聞の「声」に投稿した原稿(一部修正)である。どうやら載りそうにないし、タイミングを失しても無意味なので、このブログでお茶を濁すことにした。