2014-01-01から1年間の記事一覧

題詠100首選歌集(その27)

選歌集・その27 023:保(77〜101) (さくら♪)書架越しに見つめる視線隠すため探す振りした宇津保物語 (三船真智子)えぐられた傷の深さに気づかずに静かに横になる保健室 (柏井なつ)保護しないメールが消える音がする夜は浄化の天使の時間 024:維(…

題詠100首選歌集(その26)

選歌集・その26 022:関東(76〜100) (御糸さち)関東の悪口を言う人といて束の間わたし弁護士となる (こと葉)関東は来週かもと台風の進路気になる予報円あり (三船真智子)その昔なじめなかった関東も埼玉県は君の住む町 025:がっかり(76〜1…

題詠100首選歌集(その25)

選歌集・その25 018:援(76〜100) (こと葉)応援は「あまり頑張らないでね」と友の言葉のやさしい音色 (長月ミカ)救援で見知らぬ人のもとへゆく君の防災グッズは買わぬ 019:妹(76〜100) (まる)病める子に水をふふませ妹に雪取りて来し賢治…

地方創生の阻害要因(スペース・マガジン11月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。 [愚想管見] 地方創生の阻害要因 西中眞二郎 我が国を巡る重要課題はいろいろあるが、長期的視点から見た最大の構造的問題は、少子高齢化と人口減少だろう。そして、そ…

題詠100首選歌集(その24)

選歌集・その24005:返事 (117〜142) (まる)「返事不要」と書き来る人の小心に戸惑いつつもメールを返す 016:捜(80〜104) (こと葉)伝えたき言葉を捜す今はまだ心の秋の梢の辺り (槐)連絡の時間過ごせる旅の駅待合室にただ二人きり (さく…

題詠100首選歌集(その23)

選歌集・その23 014:壇(79〜103) (只野ハル)仏壇の花にも蜜の秘められて羽虫密かに潜り込む午後 (こと葉)花壇にはひときわ高きひまわりのなぜか寂しい絵日記の夏 (砂乃)壇上の政治家ほどには饒舌になれない愛の告白を呑む (ゆき)上品と下品…

題詠100首選歌集(その22)

選歌集・その22 001:咲(123〜147) (白亜)ふつふつとあわだつ陽ざしの午後きみの歩いた跡に菜のはなが咲く (鮎美)咲きながら落ちし椿はぽつかりと空を見てをりその傍を踏む (莢)咲くまでは名前のわからぬ草々があふれて初夏の矩形を崩す (紫…

消費者は王様?(スペース・マガジン10月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。 [愚想管見] 消費者は王様? 西中眞二郎 最近我が家の近くに、スーパーやコンビニが何軒かできた。10分くらいで歩いて行ける範囲に、今では6,7軒の店舗がある。…

題詠100首選歌集(その21)

選歌集・その21 003:育(108〜132) (鈴木麦太朗)うちがわの白いところをこちょこちょとしているうちに子猫は育つ (鮎美)育休のさなかの同僚訪れぬ涎まみれを大事に抱きて (まる)育てずに今日より人の母となりホットケーキを朝食に焼く 011:錆…

題詠100首選歌集(その20)

<ご存じない方のために、時折書いている注釈> 五十嵐きよみさんという歌人の方が主催しておられるネット短歌の催し(年初に100の題が示され、その順を追ってトラックバックで投稿して行くシステム)に私も参加して10年目になる。私の投稿を先行させつ…

絆(きずな)考(スペース・マガジン9月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。 [愚想管見] 絆(きずな)考 西中眞二郎 東日本大震災以来だと思うが、「絆」という言葉の出番が随分増えているような気がする。震災の年の年末の「今年の漢字」にも…

題詠100首選歌集(その19)

選歌集・その19 006:員(93〜117) (みち。)全員が笑う写真が撮れなくて切り取ることをやめた思い出 010:倒(87〜111) (お気楽堂)冬が来る前に別れるべきだった倒れて叫ぶ道が冷たい (只野ハル)ひとりでは倒れる程に老い弱る孤老の午後…