2012-01-01から1年間の記事一覧

右向き左向き(スペース・マガジン10月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。 [愚想管見]右向き左向き 西中眞二郎 この5月号にも書いたように、ここ数年題詠100首というネット短歌の会に参加し、私のブログで勝手な選歌をしているのだが、3…

題詠100首選歌集(その40)

選歌集・その40051:囲(76〜100) (中西なおみ)囲まれてしゃがんだままで黙ってる少女いつから名前がないの 052:世話(76〜100) (柳めぐみ)先生が私と会ってくれるのを世話浄瑠璃を読みながら待つ (青野ことり)世話好きなおばさんがいて良…

題詠100首選歌集(その39)

選歌集・その39 004:果(192〜216) (星川郁乃)明日からは腐敗と呼ぶのだとしても今日の果実を抱くよりなくて (由布子)果実酒とふ洒落たものなく黒豆の酢漬けでつくるサワードリンク (桑原憂太郎)業績は吸い込まれゆく紙のごとシュレッダーの手前…

題詠100首選歌集(その38)

選歌集・その38 001:今(223〜247) (なまにく)今日が晴れ 明日が雨なら 明後日は私が虹になって消えたい (由布子)妹のために絶望せず生きるこんなことしか今はできない (桑原憂太郎)今までの我の軌跡もゴミ箱のワンクリックであつさりと消える …

題詠100首選歌集(その37)

選歌集・その37 013:逆(153〜177) (ちょこま)教科書を逆さのまんま読みあげてしまったように終わる告白 (桑原憂太郎)逆さまにしても右肩は上がらない業績グラフを眺め続ける (今泉洋子)わたくしを秋が詩人に仕立て上げ逆光のなかに戦げる薄 …

題詠100首選歌集(その36)

選歌集・その36 006:時代(180〜204) (ちょこま) やなことをぜんぶ時代のせいにした今朝はラインがうまく引けない (ゆいこ)教室のしなびたピアノで友の弾く少年時代が生んだはつなつ 029:座(101〜125) (じゃこ)寝るために買ったソフ…

粗雑な論理(スペース・マガジン9月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。このところ原発がらみのものを書いていることが多いが、実は同誌は「反原発」の色彩が濃い記事が多いので、それとのバランスも考えて、あえて「反原発」に水を差すよう…

題詠100首選歌集(その35)

選歌集・その35009:程(159〜183) (やまみん)寂しさも この程度なら大丈夫 熱帯夜にはひとりで眠る (新藤ゆゆ)泣く程のことじゃなかった 陽のあたる右肩だけが褪せたTシャツ 012:眉(157〜181) (嶋田さくらこ)知られたくないことだら…

題詠100首選歌集(その34)

選歌集・その34 016:力(129〜153) (杜崎アオ)向かい合うことをおそれるはつなつのぼくらは磁力線のいなづま (さとうはな)跳躍の落下点美(は)し重力はただしくきみに働いている (るいぼす)ほしいのは見えないものを見る力 見えても見えない…

題詠2012選歌集(その33)

今日は8月15日。年齢のせいか、感慨が少し薄れて来たような気がしないでもない。お天気のせいかも知れないが、蝉の声も今年は少ないような気がする。 選歌集・その33010:カード(157〜181) (たえなかすず)バースディカードの文字はおぼろげで…

私の8月15日(スペース・マガジン8月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。実は、同じような内容のものを、数年前のこのブログに載せたことがあるので、あるいは「もう読んだ」という方がおられるかも知れない。 [愚想管見] 私の8月15日 西…

題詠2012選歌集(その32)

選歌集・その32 008:深(158〜182) (わたつみいさな)さみしさとやさしさの意味も分からずに偽りの森で深呼吸する 023:必(106〜130) (砂乃)父さんの「あれはどこだ」は母さんの通訳がいつも必要となる 035:むしろ(77〜101) (佐藤…

題詠2012選歌集(その31)

選歌集・その31 002:隣(185〜209) (ぱぴこ)顔を見て言わせてほしい自転車のスピードあげて隣に並ぶ (星川郁乃)あのころのあなたが聴いていた曲で鳴る隣席のひとの携帯 007:驚(162〜186) (柳めぐみ)触れられるたびに小さく驚いて静…