2012-01-01から1年間の記事一覧

題詠100首選歌集(その53)

選歌集・その53 021:示(154〜178) (黒崎聡美)イルカのショーのプールを示す看板はピンク色したイルカが笑う (詩月めぐ)あなたとの明日を暗示するような重たい雲をひとり見上げる 023:必(156〜180) なし 056:晩(102〜126) (村…

題詠100首選歌集(その52)

選歌集・その52 004:果(217〜241) (メイダイ)朽ち果てた案内板を墓標とし廃病院に胎児は眠る (飯田和馬)果物のこころが種にあるならば林檎はとても淋しいこころ (藤崎しづく) おそ夏の果実を含むくちびるでやさしい人を待ち侘びている (久野…

題詠100首選歌集(その51)

秋も深まり、随分涼しくなった。昨日自転車で近場に出掛けたら、手が冷たく、手袋が欲しくなったほどだ。 締切も近付き、ランナーのペースもかなり上がって来たようだ。もっとも、完走者はまだ100人にかなり遠いので、百人一首作成には少し気になるところ…

題詠100首選歌集(その50)

選歌集・その50013:逆(178〜202) (紗都子)逆上がりする昼さがり雨あがり虹をくぐって地球にもどる (青山みのり)知りたくて逆引きすれど腑に落ちる言葉へたどりつけぬ曇天 014:偉(179〜203) (青山みのり)偉いとはほめられずとも壊さ…

題詠100首選歌集(その49)

選歌集・その49 019:そっくり(156〜180) (星桔梗)笑みかける瞳の在り処がそっくりであなたの事をまた思い出す (黒崎聡美)そっくりだねと言えばふたりに睨まれる負けず嫌いの姉と弟 052:世話(101〜125) (桑原憂太郎)世話好きな短期派…

題詠100首選歌集(その48)

秋も深まり、題詠100首も締切りまであと20日となった。去年の記録を見たら、11月10日付けで、「選歌集その58」となっている。それに較べると大分遅れをとっているようで、これからのランナーの方々の御健走に期待するしかない。<ご存じない方の…

尖閣列島(スペース・マガジン11月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。この原稿を渡した後になって、石原都知事が辞意を表明した。そんなわけで、石原さんに関しては、タイミングがずれた感もある。月刊誌の場合、この種の「時期遅れ」が生…

題詠100首選歌集(その47)

選歌集・その47 009:程(184〜208) (紗都子)成程を口癖にして生きてゆく自我をしずかに飼いならしつつ (鮎美)程程にやさしき君とあの日々の五年後の夏の終はりの夕陽 (匿名希望)夕立のにおいでいつも目をさますぼくは身の程知らずでいたい (…

題詠100首選歌集(その46)

選歌集・その46 011:揃(177〜201) (桑原憂太郎) 午後九時に網にかかつた情報を繋ぎ合はせて資料揃へる (新藤ゆゆ)お揃いの季節感では歩きたくなかった 海はどこまでもうみ (紗都子)前髪を切り揃えてはため息をついて鏡をそっとうかがう (鮎…

題詠100首選歌集(その45)

選歌集・その45010:カード(182〜206) (はぼき)日常をしばし離れた旅先でポストカードにペンを走らす (青山みのり) 決着をつけて終わりにしたいのにカードで清算できぬ雨空 016:力(154〜178) (桑原憂太郎)力量をいかにはかるや目標を…

題詠100首選歌集(その44)

選歌集・その44 018:希(152〜176) (村田馨)絶望の底に小さな希望あり一条戻橋へと出向く 024:玩(128〜152) (今泉洋子)怪獣のしづかに眠る玩具箱開くれば過去が押し寄せてくる 040:勉強(101〜125) (鳥羽省三)そのかみの勉強嫌い…

題詠100首選歌集(その43)

選歌集・その43002:隣(210〜235) (高良すな)月まるく風にたゆたう穂のすすき隣の猫をじゃらして遊ぶ (なつ)乗合はす隣の女性は筆談に河南省の出身と言ふ 007:驚(187〜211) (村田馨)吃驚という言葉さえ飲みこんでかずら橋へと歩みすすめ…

題詠100首選歌集(その42)

すっかり秋めいて来たところで、最終題がやっと2巡終了した。ゴールまであと1月半、多くのランナーの皆様のご健走を念願している。<ご存じない方のために、時折書いている注釈> 五十嵐きよみさんという歌人の方が主催しておられるネット短歌の催し(年初…

題詠100首選歌集(その41)

選歌集・その41003:散(206〜230) (星川郁乃)視界からはずれたひとはいないひと 夏のパスタに茗荷を散らす (桑原憂太郎)机上には未決書類が積み上がり散らかつたままの七月となる 021:示(129〜153) (星桔梗)秋ひと日時計の針の指し示…