2009-01-01から1年間の記事一覧

題詠100首選歌集(その78)

選歌集・その78 018:格差(263〜287) (佐山みはる) おみやげに格差みえつつ免税のレジにつぎつぎ人はたちをり (内田かおり)子犬にも格差あるらしペットショップの表示に赤き割引の文字 (里坂季夜)ふしあわせ好きの彼女のしあわせは女性セブン…

続・天下り考(スペース・マガジン11月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの月に1度の転載である。 [愚想管見] 続・天下り考 西中眞二郎 民主党政権に変わって、官僚の天下りに対する姿勢はいよいよ厳しくなるようだ。報道によれば、天下りの斡旋はもとよ…

題詠100首選歌集(その77)

選歌集・その77 011:嫉妬(281〜305) (内田かおり)ねっとりと拭えぬ油の手のように嫉妬一滴絡まりており (Makoto.M)マンションの裏は湿りてゆうぐれを嫉妬のように柿の実みのる (鯨井五香)まっさらな半紙を黒く染め上げる「嫉妬」を今年の書き…

題詠100首選歌集(その76)

選歌集・その76 010:街(289〜313) (藤矢朝子)街だとはけして呼べないふるさとの田んぼにひとつ家がまた建つ (青山みのり)ゆうぐれと口にするたびたよりなげな街のしっぽの影のゆれおり (山の上のパン) 先生はこれが街だと円を描きヒト・モノ…

題詠100首選歌集(その75)

最終題もやっと100首に達して、これから5巡目に入る。あと1月弱、これからどんなペースで作品が増えて行くのか、楽しみであると同時に、少し怖いような気がしないでもない。 選歌集・その75053:妊娠(155〜179) (TIARA)妊娠の二文字抱いて柔…

題詠100首百人一首・予告編

題詠100首も後1月足らずになった。この催しに参加して以来、終了後に勝手な百人一首を選定している。これまでは、今日11月3日に「百人一首」を載せていたのだが、今年は締切りが1月延びたので、今日のところは手持ち無沙汰の状態だ。「11月3日」…

題詠100首選歌集(その74)

選歌集・その74 033:冠(204〜229) (近藤かすみ)太郎冠者がけさも自転車漕いでゆく烏丸通をまつすぐ北へ (今泉洋子) すこしだけ御冠なる君がため今宵はカレーを旨く作らう (内田かおり) 頭上には見えぬ冠光らせて颯爽と行く薔薇色の頬 (勺 …

題詠100首選歌集(その73)

選歌集・その73 002:一日(327〜351) (内田かおり) たっぷりと朝が満たされ一日を駈けだしているスニーカーの白 (佐山みはる)やうやくに一日果つる心地してボトルの水をひといきに干す (vanishe)血のごとき青ひろげたる夏空に抱かれてをり海邊…

題詠100首選歌集(その72)

随分涼しくなった。昨夜から、思い出したように床暖房を入れている。冷房していたのがつい先日のような気がするのに、季節の移り変りの早さにあらためて驚いているところだ。<ご存じない方のために、時折書いている注釈> 五十嵐きよみさんという歌人の方が…

NHK/BS短歌(御報告兼PR)

今日のNHK/BS短歌で入選したので、PRを兼ねて御報告する。 お題3つのうち、「飲む」、「紙」の2題は先日公表され、今日新たに「銀」という題が発表された。いくつかの作品を送ったのだが、入選したのは「銀」である。 私の作品は、 ――日を受けし黄…

題詠100首選歌集(その71)

選歌集・その71 031:てっぺん(203〜227) (小林ちい) 別れ際そっと頭のてっぺんにキスしてくれる優しい他人 (佐山みはる)てつぺんにポンポンついた帽子ふたつ木枯らしの窓をすぎて行きたり 039:広(179〜203) (しおり)無防備に眠る貴…

題詠100首選歌集(その70)

選歌集・その70 005:調(315〜340) (春畑 茜) はつ秋のこころは指を伸べながら香味料調味料を選べり (小林ちい)頑張れば明日も土曜も会えるけどもうスケジュールは調整しない (今泉洋子) 締め切りに追はれることの多すぎてかなかな哀し蜩の調…

題詠100首選歌集(その69)

選歌集・その69 008:飾(280〜304) (みなと)窓ぎわに飾るものとて数えれば花/金魚鉢/ありふれた日々 (今泉洋子)まるめたる餅飾り終へ真ん丸き心となりて新年迎ふ (佐山みはる)「ドーイドーイ」の掛け声に曳かれゆく船のみおしに花の飾られ…