2011-01-01から1年間の記事一覧

題詠100首選歌集(その62)

選歌集・その62 018:準備(204〜228) (北爪沙苗)また秋の準備の季節 涼しさはあの風鈴が知っているから (清次郎)いつだって旅立ちのときは過ぎていて昨日の準備ばかりしている 052:芯(126〜151) (揚巻)泣かぬのは泣かせてほしいからな…

題詠100首選歌集(その61)

選歌集・その61 017:失(204〜228) (生田亜々子) 近づいてやがて失うことになる方がこわくて見下ろす夜景 024:謝(180〜205) (今泉洋子)駅伝の中継カメラが映しをり拝観謝絶の古都の寺院を (小林ちい)ぶつかればちゃんと謝る金髪の下…

題詠100首百人一首予告編

題詠100首(注:五十嵐きよみさんという歌人の方が主催しておられるネット短歌の会)の締切も後10日になった。この催しに参加して7年目になるが、毎年全作品から選んで勝手な選歌集を作り、終了後にその中から百人一首を選定している。今日はその予告…

題詠100首選歌集(その60)

選歌集・その60 010:駆(230〜254) (増田静) すこやかな四輪駆動いのししが前へ前へと夏を蹴とばす 026:震(177〜201) (今泉洋子) 地震(なゐ)続く列島に季は移ろひてツタンカーメンを飯に炊き込む (黒崎聡美)雨粒は紫陽花の葉を震わ…

題詠100首選歌集(その59)

選歌集・その59 001:初(280〜304) (飯田和馬)初めてのブランコに似たかなしみが沈む秋刀魚の瞳の底に (粉粧楼)まなざしの闇に捕らわれみずからの体温を知る初めての夜 061:有無(103〜127) (うたのはこ)つり革を持つ手よろけた振りをし…

題詠100首選歌集(その58)

選歌集・その58016:絹(203〜227) (鮎美) 母のいふ砂漠はいつも月夜にて絹積む駱駝は必ず二頭 (ひぐらしひなつ)絹よりも木綿を好む六月がありてやさしい雨もひかりも 022:でたらめ(180〜204) (今泉洋子)でたらめな言い訳ばかりするわ…

市町村の二極分解(スペース・マガジン11月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。 [愚想管見] 市町村の二極分解 西中眞二郎 7月号に、昨年の国勢調査結果のサワリのサワリだけ書いたが、今日はその続きを書こうと思う。その際に書いたこととも関連…

題詠100首選歌集(その57)

選歌集・その57 005:姿(238〜263) (北爪沙苗)なんという通過駅だか影のなき煤けていたる後ろ姿は (はせがわゆづ) またあしたの一歩の向こうでゆれる髪と後ろ姿に重なる夕焼け 008:下手(231〜255) (東 徹也) 後戻りするには台詞下手…

題詠100首選歌集(その56)

最終題がやっと75首まで届いた。去年が10月27日だから、それより少し遅れているが、まあほどほどといったところか。締切りまで後1月弱、ランナーの方々のラストスパートに期待したいところだ。 選歌集・その56 013:故(203〜228) (睡蓮。)…

題詠100首選歌集(その55)

選歌集・その55 014:残(204〜228) (今泉洋子) 夏草に昭和の匂ひ残りゐてまたやつて来る終戦記念日 (山階基)過ぎてゆく夏をまとめて見送っていま残照をひろいあつめる (鮎美)ひと夏の残滓のごとき塩散らしトマトの赤を噛みしめてゐる (ろくも…

題詠100首選歌集(その54)

選歌集・その54 033:奇跡(152〜176) (星川郁乃) 平凡で幸せでしたという奇跡 今日のごはんはハンバーグです。 (くろかわさらさ)どんぐりのはだはほんのりつめたくて奇跡ばかりをねがうあけがた (陸王) 出逢うことだけで奇跡の妙薬を使い果たし…

題詠100首選歌集(その53)

このところ急に涼しくなった。昨日からカーディガンを羽織って靴下を履いているのだが、それでも薄ら寒さを感じるほどだ。この題詠100首も、早いものであと1月あまりとなった。 <ご存じない方のために、時折書いている注釈> 五十嵐きよみさんという歌…

題詠100首選歌集(その52)

選歌集・その52002:幸(260〜284) (とん)一日が今日も幸せであるように願いをこめて葱刻む朝 (勺 禰子 しゃく・ねこ) さまざまな由来を思ふに足りるほど北海道に「幸町」多し (睡蓮。) 一人ならグラス一杯二人ならボトル一本つづく幸せ 003:…

題詠100首選歌集(その51)

選歌集・その51036:暑(135〜159) (萱野芙蓉)暑い夏でしたね脱いだうすものに夕映えあはくほてりを残す (佐藤紀子) 帰り来て窓を大きく明け放つ 昼の暑さの籠れる部屋に (星川郁乃) 書きかけた残暑見舞いは出せぬまま褪せて彼岸の中日が来る (…